Wio nodeという小型マイコンボードがあります。Groveセンサーが二つ繋げられて、WiFiで通信できます。Wio nodeを制御するNode-REDのノードを使って、Wio nodeに繋いだセンサーデーターをNode-RED経由でAmbientに送ってグラフ化しました。とても手軽にIoTのプロトタイプシステムが作れます。

fig3-1

つなぐモノの紹介

Wio node

Wio nodeはSeeed Studio社が開発したマイコンボードです(上の写真。右は大きさの比較に置いた単3乾電池)。ESP8266というマイコンチップを搭載し、Groveセンサーが二つ繋げられ、WiFiで通信ができます。今回、センサーとしては温湿度センサーと光センサーを接続しました。

fig3-2

Wio nodeとGroveセンサーの設定は[こちらのページ](http://codezine.jp/article/detail/9654)を参考にしました。

Wio nodeをNode-REDで扱う方法は[こちらのページ](http://codezine.jp/article/detail/9624)を参考にしました。

全体の構成と流れ

全体の構成は次の図のようになっています。

fig3-3

最初、Node-REDはMacで動かし、後でIBM Mluemix上でも動かしてみました。

全体の大まかな流れは次のようになっています。

  1. Node-REDのInjectionノードで5分毎にイベントを発生させ、3つのWio nodeのsensorノードを起動する
  2. 各sensorノードがWio nodeのセンサーデーター(温度、湿度、明るさ)を要求する
  3. Wio nodeからセンサーデーターがNode-REDのsensorノードに返される
  4. 3つのsensorノードからのデーターが揃ったら、メッセージの形を変換する関数を経由してAmbientノードにデーターが渡される
  5. AmbientノードがAmbientにデーターを送信し、Ambientがデーターをグラフ表示する

Wio nodeのsensorノードは温湿度センサーのように複数のデーターを返すセンサーであっても、そのうちのどれか一つの値を返すように作られています。そこで三つのsensorノードを置き、それぞれで温度、湿度、明るさデーターを取得し、その後にjoin関数で三つのデーターが揃うのを待つようにしました。

sensorノードにはWio nodeとの通信処理が含まれます。通信がエラーになった場合を考慮し、join関数ではただ待つのではなく、タイムアウトを設定し、一定時間以内に三つのデーターが揃わなかった場合、タイムアウトして一つまたは二つのデーターで処理を継続するようにしました。

fig3-4

sensorノードは次のように設定しています。

fig3-5

OutputのデフォルトはParsed Valueですが、これだと出力は数値だけになってしまい、三つの出力をjoinした時に扱いにくいので、Raw Objectに設定しました。三つのsensorノードの出力はそれぞれ次のような形式になります。

    {"celsius_degree": 値}
    {"humidity": 値}
    {"lux": 値}

join関数の出力は

    {"celsius_degree": 値, "humidity": 値, "lux": 値}

という形式になるのに対し、Ambientに渡すデーターは

    {"d1": 値1, "d2": 値2, "d3": 値3, ...}

という形式なので、データー形式を変換する次のような関数を書きました。

    var data = {
        "d1": msg.payload.celsius_degree,
        "d2": msg.payload.humidity,
        "d3": msg.payload.lux
    }
    msg.payload = data;
    return msg;

出来上がったflowをDeployして動かすと、Wio nodeのセンサーで測定した温度、湿度、明るさがAmbientサイトでグラフでみることができます。左のグラフに温度と湿度を、右のグラフに明るさを表示しています。

fig3-6

IBM Bluemix で動かす

ここまでは、Node-REDはMac上で動かしていました。このシステムを常時動かすにはNode-REDをクラウドで動かしたほうが便利です。IBM Bluemixは高機能なクラウドサービスで、コンポーネントの一つとしてNode-REDが用意されているので、今回のシステムをBluemixで動かしてみました。

Bluemix上のNode-REDにサードパーティー製のWio nodeノードやAmbientノードをインストールする方法は少し分かりにくかったのでメモを残します。

BluemixのNode-REDにサードパーティー・ノードをインストールする

  1. Bluemixのダッシュボードで「Gitの追加」をクリックする。ダイアローグが現れるので、「継続」「閉じる」をクリックするとGitリポジトリーが作られる。
    fig3-7
  2. 「コードの編集」をクリックする。
    fig3-8
  3. package.jsonを選択し、その中のdependenciesに追加したいサードパーティー・ノードを追加する。今回は次の2行を追加しました。
        "node-red-contrib-wio-seeed":"0.1.x",
        "node-red-contrib-ambient":"0.0.x"
    

    fig3-9

  4. 「BUILD&DEPLOY」をクリックする。
    fig3-10
  5. Gitのcommitとpushを促されるので、commitしてpushすると、BUILDされ、DEPLOYされる。
    fig3-11
  6. ダッシュボードに戻り、アプリを再起動し、Node-REDページをリドローすると、パレットにwio nodeノードとambientノードが追加されている
    fig3-12

まとめ

Groveセンサーには豊富な種類のセンサーが用意されているので、アイデア次第で様々なIoTシステムを短時間に組み立てることができます。

ただし、Wio nodeはREST APIでデーターをやり取りするサーバーとして動作しており、CPUをDeep Sleepさせて低消費電力で待つといった使い方ができません。バッテリーで長時間動かすのは厳しく、実験やプロトタイプなどで使うのに適しているようです。