以前、ESP8266の消費電流調査を行いましたが、今回はESP8266を搭載した次の3機種のボードの消費電流を調べました。

サマリー

電源オンでWi-Fiに接続し、BME280で温度、湿度、気圧を測定し、Ambientにデーターを送信してDeep sleepするというプログラムを動かし、電源オンからDeep sleepまでの消費電流を測定しました。

  • Wi-Fi接続からデーター送信完了までは3機種ともほぼ73〜76mA程度の電流が流れる。
  • Deep sleepに入ると3機種とも消費電流は0.4〜0.8mA程度に下がる。
  • 5分に1回Wi-Fiに接続しデーターを測定、送信しDeep sleepする場合、全体の99%はDeep sleepしているため、Deep sleep時の消費電流が総消費電流に影響する。
  • 5分に1回接続、測定、送信した場合の総消費電流はスイッチサイエンス製、倉橋屋製ボードはほぼ同程度、秋月製+自作周辺回路はこれらに対して35%程度消費電流が多かった。

なお、なるべく再現可能なように測定条件などを開示していますが、得られた結果は私の環境での値であり、結果を保証するものではありません。

測定方法

消費電流モニター

電流センサーINA226PRCとESP8266で消費電流モニターを作り、5m秒間隔で12.5秒測定対象の消費電流と電源電圧を測定しました。電流測定の分解能は0.1mA、電圧の分解能は1.25mVです。詳しくは「AmbientとArduino ESP8266でマイコンの消費電流モニターを作る」をご覧ください。

測定対象

秋月電子製Wi-FiモジュールESP-WROOM-02 DIP化キット+自作周辺回路に消費電流モニターをつないだものが次のような回路です。INA226PRCの下に消費電流モニターがつながります。

スイッチサイエンス製ESPr Developer、倉橋屋製「Board1 ver.1.1」もほぼ同じような構成です。

測定結果

スイッチサイエンス製ESPr Developer

スイッチサイエンス製ESPr Developerの測定結果です。

スタートから20m秒ぐらいしたところで最大で350mAほどの電流が流れています。Wi-FiモジュールをオンにしてWi-Fiへの接続を開始しているところではないかと思います。その後、Wi-Fi接続からデーター測定、送信までは73〜74mA、Deep sleepに入ってからは0.4〜0.5mA程度の消費電流です。

倉橋屋製「Board1 ver.1.1」

次は倉橋屋製「Board1 ver.1.1」の測定結果です。

電源オンから1秒程33mA程度の電流が流れます。その後は、ピーク電流が350mA程度、Wi-Fi接続からデーター測定、送信までが74〜75mA、Deep sleepに入ってからは0.4〜0.5mA程度の消費電流です。最初の1秒を除くとスイッチサイエンス製ESPr Developerとほぼ同じような消費電力でした。

なお、ボードを開発された倉橋さんにいくつかの「Board1 ver.1.1」で消費電流を測定していただいたところ、今回のような1秒程度33mAの電流が流れることはなかったとのことでしたので、個体差ではないかと考えています。

秋月電子製+自作周辺回路

秋月電子製+自作周辺回路の測定結果です。

スタートから20m秒ぐらいしたところで最大で240mAぐらいの電流が流れています。その後は76mA程度の電流が流れ、スタートから3.4秒程度でWi-Fiへの接続、データーの測定、送信処理を終え、Deep sleepに入っています。Deep sleepに入ると消費電流は0.8〜0.9mA程度に下がります。

データーはこちらのチャネルで公開しました。

今回の測定ではWi-Fiに接続し、データーを測定して送信するまでは3秒程度かかっています。5分(300秒)に1回Wi-Fiに接続し、データーを測定、送信し、あとはDeep sleepすると、アクティブなのは3秒(1%)、残りの297秒(99%)はDeep sleepしています。

アクティブ時とDeep sleep時の消費電流値と時間から5分間の消費電流の積算値を求めると次のようになります。99%の時間を占めるDeep sleep時の消費電流を低く抑えるのが総消費電流を低くするポイントになります。

  アクティブ時 Deep sleep時 総消費電流(5分)
スイッチサイエンス製ESPr Developer 73〜74mA 0.4〜0.5mA 355mA秒
倉橋屋製「Board1 ver.1.1」 74mA 0.4〜0.5mA 356mA秒
秋月電子製+自作周辺回路 75〜76mA 0.8〜0.9mA  479mA秒